会社の印鑑は何本必要?
実印・銀行印・角印の違いと使い分け

最終確認日:2026年10月6日/法務省・国税庁などの公式情報をもとに作成

請 求 書 代表 実印 銀行印 角印

会社を作るときに迷いやすいのが印鑑です。「実印・銀行印・角印の3本セット」をよく見かけますが、法律で3本そろえることが決まっているわけではありません。それぞれの役割と、今のルールで本当に必要なものを、公式情報をもとに整理します。

この記事のポイント
オンラインで登記するなら
実印の届出は任意

2021年2月15日から。書面で申請する場合(紙の委任状を出す代理人申請を含む)は従来どおり必要

契約書は押印が
なくても有効

法令などで特に決まりがある場合を除く(内閣府・法務省・経産省のQ&A)

何本作るかは
使い道で決める

窓口の銀行や書面の手続きが多いなら3本、少ないなら最小限でも

実印・銀行印・角印の違い

会社実印 (代表者印)

オンライン申請なら届出は任意(条件あり)
届け先
法務局(会社の登記をしている登記所)
主な用途
書面での登記申請、会社の印鑑証明書を求められる契約・手続き
形の決まり
1辺1cmの正方形に収まるもの・3cmの正方形に収まらないものは不可。照合に適するものであること

銀行印

銀行によって必要・不要が異なる
届け先
口座を開く銀行
主な用途
窓口での払い戻しや届出内容の変更など、銀行での手続き
ポイント
ネット銀行の中には、届出印の登録が不要なところもあります(例:GMOあおぞらネット銀行は「届出印の登録は不要」と案内)

角印 (社印)

届出は不要
届け先
なし
主な用途
見積書・請求書・領収書などに、会社が発行したことを示す目的で慣習的に押すもの
ポイント
インボイス(適格請求書)の記載事項に押印は含まれていません

出典:法務省「商業・法人登記 Q&A」「商業登記規則が改正され、オンライン申請がより便利になりました」、GMOあおぞらネット銀行「口座開設に印鑑は必要ですか?」、国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」

実印は法務局に届け出るべき?

2021年2月15日から、登記の申請をオンラインで行う場合は、登記所への印鑑の提出が任意になりました。一方、書面で申請する場合(QRコード付き書面申請を含む)は、申請書に届出印を押す必要があるため、従来どおり印鑑の提出が必要です。

設立登記はどうやって申請する?
書面(紙)で申請QRコード付き書面申請も含む。申請書に届出印を押すため
印鑑の提出が必要
オンラインで申請電子署名で手続きできるため
印鑑の提出は任意
注意:司法書士などの代理人がオンラインで申請する場合でも、委任状を紙で持参・送付するときは、書面での印鑑の提出が必要です。依頼する場合は、印鑑が必要かどうかを事前に確認しましょう。
オンラインでも届け出ておくと安心なケース:会社の印鑑証明書を求められる手続きがありそうな場合です。印鑑証明書は登記所に届け出た印鑑についての証明書なので、印鑑を届け出ていなければ取得できません。たとえばGMOあおぞらネット銀行では、代表者と取引責任者が別の人の場合、委任状に実印を押して会社の印鑑証明書を出すか、代表者が自署するかを選ぶ仕組みになっています。

オンライン申請と同時であれば、印鑑の提出もオンラインでできます。書面で届け出る場合は、原則として「印鑑届書」と代表者個人の印鑑証明書を、会社を登記している登記所に持参または送付します。

会社の印鑑証明書の取り方と手数料

会社の印鑑証明書は、書面で請求する場合、印鑑カードと交付申請書(手数料分の収入印紙を貼ったもの)を登記所に提出して受け取ります。オンラインで請求することもでき、その場合は電子署名のための電子証明書(商業登記電子証明書や、マイナンバーカードの電子証明書など)が必要です。

書面で請求500円
オンライン請求・郵送で受け取り450円
オンライン請求・窓口で受け取り420円

※1通あたり。2025年4月1日からの金額です。出典:法務省「登記手数料について」「オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について」

契約書・請求書に押印は必要?

契約書

契約は当事者の意思の合致で成立し、特段の定めがある場合を除き、押印は必要な要件ではありません。押印がなくても契約の効力に影響はないとされています。ただし本人の押印があると、裁判で文書が本人によって作られたものと推定され、証明の負担が軽くなります(その効果は限定的とされています)。

出典:内閣府・法務省・経済産業省「押印についてのQ&A」(2020年6月19日)

請求書(インボイス)

適格請求書に必要な記載事項は、発行者の名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した合計額と適用税率、税率ごとに区分した消費税額等、受け取る側の名称の6つです。押印は含まれていません。角印を押すかどうかは、会社や取引先の慣習で決めてかまいません。

出典:国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」

ポイント:押印をやめる場合は、取引先とのメールのやり取りや送受信の記録を保存しておくなど、別の方法で「誰がいつ合意したか」を残しておくと安心です(同Q&Aでも例として挙げられています)。取引先から押印を求められた場合は、相手と相談して決めましょう。

何本作ればいい?考え方の例

正解は会社によって違います。ここでは考え方の一例を紹介します。

オンライン中心の会社

  • 登記・銀行・契約がほぼオンラインで完結
  • 印鑑証明書を求められたときに備えて実印を届け出ておき、見積書・請求書用に角印、のように最小限に

窓口・書面の手続きも多い会社

  • 書面で登記する、窓口の銀行を使う、紙の契約が多い
  • 実印・銀行印・角印を分けておくと、用途ごとに使い分けられ、1本をなくしたときの影響も小さくできる

印鑑を管理するときのポイント

設立直後にやることをまとめて確認社会保険・税務署への届出まで、時期ごとに整理した「会社設立後にやることチェックリスト」へ ›

よくある質問

会社の印鑑は、設立前に作っておくべきですか?
書面で設立登記を申請する場合は、申請書に届出印を押すため、申請前に用意が必要です。オンラインで申請する場合は印鑑の提出が任意なので、必要になってから作ることもできます。ただし、代理人に依頼して委任状を紙で出す場合は印鑑の提出が必要なので、依頼先に確認しましょう。
角印を押していない請求書は無効になりますか?
適格請求書(インボイス)の記載事項に押印は含まれていないため、角印がないことだけを理由に要件を満たさなくなるわけではありません。ただし、取引先から押印を求められた場合は、相手と相談して決めましょう。
オンラインで登記して印鑑を届け出なかったけれど、あとから必要になったら?
あとから印鑑を届け出ることができます。書面の場合は、原則として印鑑届書と代表者個人の印鑑証明書を、会社を登記している登記所に持参または送付します。詳しい手続きは管轄の法務局で確認してください。
実印と銀行印は同じ印鑑でもいいですか?
同じ印鑑を使うことを禁止する決まりはありません。ただ、分けておくと、1本をなくしたときに両方の手続きに影響が出るのを避けられます。使う頻度や管理のしやすさで決めましょう。

参考にした公式情報

※この記事は一般的な情報と、公式サイトの掲載情報(2026年10月6日確認)をまとめたものです。制度や手数料は変更されることがあります。個別の手続きについては、管轄の法務局や取引先の金融機関にご確認ください。