会社の消費税の基本
計算方法の選び方と、申告・中間申告の期限
本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。
会社が消費税を納める「課税事業者」になると、毎年、消費税の確定申告と納付が必要になります。納める税額の計算方法は1つではなく、一般課税・簡易課税・2割特例のどれを使うかで、税額も手間も変わります。この記事では、消費税のしくみと3つの計算方法、確定申告と中間申告の期限を、国税庁の公式情報をもとに整理しました。売上と経費を入れると、計算方法ごとの納税額の目安がわかる試算ツールもあります。
設立したばかりで「そもそも消費税を納める必要があるか」を知りたい方は、先に「会社の消費税はいつから?」をご覧ください。
払った税を引く
一般課税の基本の考え方
3通り
一般課税・簡易課税・2割特例
決算後2か月以内
税額が多いと中間申告も
消費税のしくみと税率
消費税は、商品やサービスの代金に上乗せしてお客さんから預かり、会社がまとめて国に納める税金です。会社自身も仕入れや経費の支払いで消費税を払っているので、一般課税では、預かった消費税から払った消費税を差し引いた残りを納めます。
| 標準税率 | 軽減税率 | |
|---|---|---|
| 税率(合計) | 10% | 8% |
| 内訳 | 消費税7.8%+地方消費税2.2% | 消費税6.24%+地方消費税1.76% |
| 対象 | 軽減税率の対象以外 | 飲食料品(酒類・外食を除く)、週2回以上発行される新聞の定期購読 |
飲食料品の税率は、法案が成立すれば、2027年(令和9年)4月から2年間、1%に引き下げられる予定です(詳しくは後述)。
出典:国税庁「No.6303 消費税及び地方消費税の税率」
納める税額の3つの計算方法
一般課税(本則課税)
売上げの消費税 − 仕入れ・経費の消費税実際に払った消費税を差し引く、原則の方法です。差し引くには、原則としてインボイス(適格請求書)などと帳簿の保存が必要です。インボイス発行事業者ではない相手(免税事業者など)からの仕入れは、一定の要件のもとで、2026年10月1日からの2年間は仕入税額相当額の70%を差し引けます(その後、50%・30%と段階的に縮小し、2031年10月1日以後は差し引けません)。
大きな設備投資をした年など、仕入れ・経費で払った消費税のほうが多いときに差額の還付を受けられるのは、3つのうち一般課税だけです。
簡易課税
売上げの消費税 − 売上げの消費税 × みなし仕入率仕入れや経費の消費税を、業種ごとに決まった「みなし仕入率」で計算する方法です。実際の仕入れのインボイスを集計しなくてよいので、計算が簡単です。使えるのは基準期間(原則として前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下で、事前に届出書を出した会社です。
2割特例
売上げの消費税 × 20%インボイス登録をしなければ免税事業者だった会社(基準期間の課税売上高が1,000万円以下など)が使える特例です。資本金1,000万円以上の新設法人などは使えません。事前の届出は不要で、確定申告書に付記すれば使えます。法人が使えるのは2026年9月30日を含む課税期間までです(たとえば3月決算の会社なら、2026年4月〜2027年3月の事業年度まで)。個人事業者向けの「3割特例」は、法人は使えません。
簡易課税のみなし仕入率は、次のとおりです。
| 事業区分 | 主な業種 | みなし仕入率 |
|---|---|---|
| 第1種 | 卸売業 | 90% |
| 第2種 | 小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡) | 80% |
| 第3種 | 農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡以外)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業 | 70% |
| 第4種 | 第1・2・3・5・6種以外(飲食店業など) | 60% |
| 第5種 | 運輸通信業、金融業・保険業、サービス業(飲食店業を除く) | 50% |
| 第6種 | 不動産業 | 40% |
出典:国税庁「No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」「No.6505 簡易課税制度」「令和8年度税制改正特集」「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」
納税額の試算ツール
※すべて税率10%として、消費税と地方消費税の合計額を概算しています。実際の申告では、消費税(国税)を計算してから地方消費税を計算し、端数処理なども行うため、金額は少し変わります。軽減税率の取引、インボイスのない仕入れ、複数の業種がある場合などは考慮していません。正式な税額は税理士や税務署にご確認ください。入力内容は保存・送信されません。
簡易課税を選ぶときの注意点
- 届出の期限:「消費税簡易課税制度選択届出書」を、使いたい課税期間の初日の前日までに提出します。設立した事業年度など、事業を開始した日の属する課税期間から使う場合は、その課税期間中に出せば間に合います
- インボイス登録で課税事業者になった場合:免税事業者が2029年9月30日までの間にインボイス登録を受けて課税事業者になる場合は、登録を受けた日を含む課税期間中に出せば、その課税期間から使えます
- 2割特例の翌期から切り替える場合:2割特例を使った課税期間の翌課税期間から簡易課税にするなら、その翌課税期間の確定申告期限までに出せば間に合います
- 期限は休日でも延びない:届出書の期限が土日・祝日などに当たっても延長されません(郵送の場合は、通信日付印の日に提出したものとみなされます)
- 出せない場合がある:資本金1,000万円以上の新設法人などや、高額特定資産を仕入れた場合などは、一定期間、届出書を出せないことがあります
- 2年間はやめられない:やめるときは「簡易課税制度選択不適用届出書」を出しますが、原則として、簡易課税を始めた課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でないと出せません
- 売上が増えたら使えない:届出をしていても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える課税期間は、一般課税で計算します
出典:国税庁「No.6505 簡易課税制度」「No.6629 消費税の各種届出書」「D1-22 消費税簡易課税制度選択届出手続」
一般課税と簡易課税のどちらが合うかを相談できる税理士を探すなら(広告)
- 会計ソフトの弥生が運営する、税理士・会計事務所の紹介サービス。紹介は無料
- 法人税・消費税などの税務相談や、決算・申告の依頼先を探せる
- 紹介先は、弥生のパートナー会計事務所(全国14,000、2026年3月現在)
- 最短で申し込み当日に紹介(時期や状況によっては当日にならない場合あり)
※無料なのは紹介までです。税理士に仕事を依頼する場合の報酬は、紹介された事務所との契約によります。
税理士紹介サービスの公式サイトを見る ›出典:弥生株式会社「税理士紹介サービス」(2026年10月13日確認)
確定申告と納付の期限
会社の消費税の確定申告書は、課税期間(通常は事業年度)の終了の日の翌日から2か月以内に、納税地の所轄税務署長に提出し、同じ期限までに納付します。3月決算の会社なら、5月31日が期限です。期限が土日・祝日などに当たるときは、その翌日(休日明けの日)が期限になります。
出典:国税庁「No.6601 申告と納税」「No.6610 法人に係る消費税の確定申告書の提出期限について」「D1-2 消費税申告期限延長届出手続」、e-Gov法令検索「国税通則法」第10条第2項
中間申告のしくみ
前の課税期間の消費税額が一定額を超えると、次の課税期間の途中で中間申告と納付が必要になります。回数は、直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を含まない、国税の部分の年税額)で決まります。
| 直前の課税期間の 確定消費税額(国税) | 中間申告の回数 | 1回あたりの納付額 (直前の課税期間が12か月の場合) |
|---|---|---|
| 48万円以下 | 原則不要(届出をすれば、任意で年1回できる) | — |
| 48万円超〜400万円以下 | 年1回 | 確定消費税額の6/12 |
| 400万円超〜4,800万円以下 | 年3回 | 確定消費税額の3/12 |
| 4,800万円超 | 年11回 | 確定消費税額の1/12 |
- 納付額には、上の額の22/78の地方消費税が加わります。直前の課税期間が12か月に満たない場合は、計算方法が異なります
- 期限は、原則として各中間申告の対象期間の末日の翌日から2か月以内です(年11回の場合は異なる期限があります)
- 前年の実績で計算する代わりに、仮決算をして計算した税額で申告・納付することもできます。ただし、仮決算で税額がマイナスになっても還付は受けられません
- 中間申告書を期限までに出さなかった場合は、前の課税期間の実績で計算した中間申告書を出したものとみなされます(その後に仮決算による申告はできません)
- 中間申告で納めた税額は、確定申告のときに差し引かれ、差し引ききれない分は還付されます
- 課税事業者になって最初の課税期間のように、前の課税期間に確定した消費税額がなければ、中間申告はありません
出典:国税庁「No.6609 中間申告の方法」「No.6611 任意の中間申告制度」
2027年4月からの飲食料品の税率引下げ(法案)
政府は2026年10月9日、飲食料品の消費税率を臨時に引き下げる法律案を閣議決定し、国会に提出しました(2026年10月13日時点で、成立は確認できていません)。以下は、法案が成立した場合の予定で、国税庁が公表している内容です。
- 期間:2027年(令和9年)4月1日から2029年(令和11年)3月31日までの2年間
- 税率:飲食料品は1%(消費税と地方消費税の合計)。新聞の定期購読は8%、その他は10%のまま
- 対象:これまで軽減税率8%の対象だった飲食料品と同じ範囲
- 飲食料品を販売する簡易課税の会社への特例:業種にかかわらず、飲食料品の販売に係る売上税額と同じ額を、仕入税額として差し引く計算になる予定です(2割特例・3割特例を使う場合も同様)。また、2027年4月1日を含む課税期間中に「簡易課税制度選択不適用届出書」を出せば、その課税期間から一般課税で申告でき、その課税期間は2年間の継続適用の要件も適用されない予定です
- 経過的な取扱い:2027年4月1日以後の飲食料品の販売でも、一定の定期供給契約や通信販売によるものは、これまでどおり8%が適用される予定です
- 価格表示:値札の貼り替えなどが間に合わない事情がある場合、2027年2月1日〜5月31日は、一定の条件のもとで税率8%または1%での総額表示が認められる予定です
飲食料品を扱う会社は、レジや請求書の税率設定、簡易課税を続けるかどうかなどの準備が必要になります。法案の審議で内容が変わる可能性もあるので、国税庁の特設サイトで最新情報を確認してください。
出典:内閣官房「『飲食料品に係る消費税率の引下げ』及び『給付付き税額控除』について」、国税庁「消費税率引下げ特設サイト」「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて(リーフレット、令和8年9月)」
インボイス登録を検討しているなら登録のしくみと申請期限のチェッカーは「インボイス登録」の記事へ ›よくある質問
一般課税と簡易課税、どちらが得ですか?
2割特例を使うのに届出は必要ですか?
赤字の年でも消費税は納めますか?
給与や社会保険料は、仕入れ・経費の消費税に入りますか?
参考にした公式情報
- 国税庁「No.6303 消費税及び地方消費税の税率」
- 国税庁「No.6505 簡易課税制度」
- 国税庁「D1-22 消費税簡易課税制度選択届出手続」
- 国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」
- 国税庁「令和8年度税制改正特集」
- 国税庁「No.6601 申告と納税」
- 国税庁「No.6610 法人に係る消費税の確定申告書の提出期限について」
- 国税庁「D1-2 消費税申告期限延長届出手続」
- 国税庁「No.6609 中間申告の方法」
- 国税庁「No.6611 任意の中間申告制度」
- 国税庁「No.6629 消費税の各種届出書」
- 国税庁「No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」
- 国税庁「消費税率引下げ特設サイト」
- 内閣官房「『飲食料品に係る消費税率の引下げ』及び『給付付き税額控除』について」
- e-Gov法令検索「国税通則法」(第10条)
- 弥生株式会社「税理士紹介サービス」(2026年10月13日確認)
※この記事は一般的な情報と、公式サイトの掲載情報(2026年10月13日確認)をまとめたものです。税制は毎年の改正で変わることがあり、飲食料品の税率引下げは国会で審議中の法案の内容です。個別の判断は、税務署や税理士にご相談ください。