創業融資を受けるなら?
公的な融資制度と、申し込む前に確認したいこと

最終確認日:2026年10月9日/日本政策金融公庫・全国信用保証協会連合会などの公式情報をもとに作成

日本政策金融公庫 保証 信用保証協会+金融機関 創業した会社

会社をつくったばかりで、融資を受けるべきかどうか。それは事業の内容や手元の資金によって変わるので、この記事では答えを決めつけません。そのかわり、もし受けるなら、どんな制度があって、何を準備すればいいのかを、日本政策金融公庫などの公式情報で一緒に見ていきます。毎月の返済額の目安がわかるシミュレーターも用意しました。

この記事のポイント
創業時の公的な融資は
主に2つ

日本政策金融公庫と、信用保証協会の保証付き融資

実績がない分、
創業計画書が大事

動機・経歴・資金計画・収支計画などを書く

据置期間の
あとまで計画を

返済が始まってからの毎月の額を確認

まずはデータを見てみる

日本政策金融公庫の総合研究所は、毎年「新規開業実態調査」を公表しています。2025年度の調査では、開業費用と、開業時に集めたお金は次のとおりでした。

開業費用中央値 600万円平均は975万円。少額化の傾向
開業時の資金調達額平均 1,219万円借り入れと自己資金で約9割
注意:この調査は、公庫から融資を受けた開業1年以内の企業(不動産賃貸業を除く)を対象にしたアンケートです(2,165社が回答)。融資を受けなかった会社は含まれていないため、「創業した会社の平均」とは違います。自社の必要額を考えるときの、ひとつの参考として見てください。

創業時に使える主な公的な融資

会社をつくったばかりで、決算の実績がない時期に使われる代表的な公的融資は、次の2つです。

政府系の金融機関

日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

政府系の金融機関である日本政策金融公庫(国民生活事業)の、創業向けの融資です。

使える人
新たに事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内の人(適正な事業計画があり、遂行する能力が十分あると認められる人)
使い道
事業を始めるため、または始めた後に必要な設備資金・運転資金
融資限度額
7,200万円
返済期間
設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内)
利率
基準利率。女性、35歳未満または55歳以上の人、市区町村の創業支援を受けて証明書を得た人などは特別利率
担保・保証人
希望を聞きながら相談。経営者保証免除特例制度などを併用できる
保証付きの融資

信用保証協会の保証を付けた、金融機関の融資

信用保証協会は、信用保証協会法にもとづく公的機関で、中小企業などが銀行や信用金庫から事業資金を借りるときに「信用保証」をします。創業向けには、次の保証制度があります。

創業関連保証
これから創業する人や、創業から5年未満の会社などが対象
スタートアップ創出促進保証
経営者(社長)が会社の連帯保証人になる必要がない保証制度。保証料率は、創業関連保証の保証料率に0.2%上乗せ
保証限度額
3,500万円(創業向けの保証制度を合わせた合計)

なお、返済できなくなって信用保証協会が金融機関に代わりに返済(代位弁済)した場合も、借りたお金がなくなるわけではなく、会社は信用保証協会に返済していくことになります。

都道府県や市区町村が、信用保証協会・金融機関と連携して行う制度融資もあります。たとえば東京都には、経営者保証が不要で、都から保証料の3分の2の補助が受けられる創業融資があります。

※どちらも審査があり、希望どおりに借りられるとは限りません。金利・保証料は時期や条件によって変わるため、最新の情報は各機関の公式サイトで確認してください。

社長の個人保証(経営者保証)はどうなる?

会社の借り入れに社長が個人で保証人になると、会社が返せなくなったときに、社長個人が返済を求められることがあります。創業向けの公的な融資には、この経営者保証を付けない選択肢があります。

ポイント:会社のお金と社長個人のお金を分けておくことは、経営者保証を外す条件にも関わります。法人口座を早めにつくって、入出金を分けておきましょう(「設立1期目の法人口座の選び方」)。

借りる前に考えておきたい5つのこと

融資は、借りれば手元の資金に余裕ができる一方で、返済と利息の負担が続きます。次の5つを、借りる前に整理しておくと判断しやすくなります。

1

何に、いくら必要か

店舗の内装や機械などの設備資金と、仕入れや人件費・家賃などの運転資金に分けて、見積もりをもとに金額を出します。公庫の創業計画書にも「必要な資金と調達方法」を書く欄があります。

2

自己資金はいくら用意できるか

先ほどの調査では、開業時の資金調達額のうち自己資金は平均279万円(約23%)でした。借り入れに頼る割合が大きいほど、返済の負担も大きくなります。制度によっては、自己資金などの条件が設けられている場合もあります。

3

据置期間が終わったあとも返せるか

据置期間中は元金の返済がなく、利息だけを払います。据置期間が終わると、毎月の返済額が一気に増えます。収支計画で、その額を毎月払えるかを確認しておきましょう(下の返済シミュレーターで目安を出せます)。

4

金利や保証料はいくらか

公庫の利率は、融資制度や返済期間、担保の有無などによって異なり、見直されることもあります。保証付きの融資では、金利に加えて信用保証料もかかります。申し込む時点の条件を、公式サイトや窓口で確認しましょう。

5

経営者保証を付けるかどうか

経営者保証を付けない制度は、条件や保証料が違う場合があります。万一のときに社長個人にどんな影響があるかも含めて比べましょう。

返済シミュレーター

創業融資の返済シミュレーター借入額・返済期間・据置期間・金利を入れると、毎月の返済額と利息の合計の目安がわかります。

※金利は例です。実際の利率は、融資制度や条件によって異なります。利息は「年利÷12」で毎月計算した目安で、実際の返済額とは異なります。公庫のサイトにも返済シミュレーションがあります。入力した内容は保存・送信されません。

申し込みの流れと必要な書類

日本政策金融公庫に、これから創業する人が申し込む場合の一般的な流れは次のとおりです。

相談(任意)

電話やオンライン、支店の窓口で事前に相談できます(予約制)。

インターネットで申し込み

必要な書類を電子データで用意して申し込みます。窓口は、法人なら原則として本店所在地の近くの支店です。

面談

資金の使い道や事業計画について話をします。事業計画に関する資料や、資産・負債がわかる書類を用意します。オンライン面談もあります。

審査

店舗や事業所の予定地を訪ねることもあり、事業計画などをもとに融資を判断します。

契約・融資

契約の手続き後、指定した口座に融資金が送金されます。返済は原則として月賦(元金均等、元利均等、ステップ返済など)です。

インターネットで申し込むときに主に用意する書類は、次のとおりです。

創業計画書には、創業の動機、経営者の略歴、取扱商品・サービス、従業員、取引先、お借入の状況、必要な資金と調達方法、事業の見通し(売上・経費・利益)などを書きます。公庫のサイトには、業種別の記入例や書き方の動画もあります。

ポイント:市区町村の創業セミナーなど(認定特定創業支援等事業)を受けて証明書をもらうと、公庫の特別利率の対象になったり、保証制度の対象期間が広がったりする場合があります。本店を置く市区町村の創業支援の窓口で確認してみましょう。
設立後の手続きの期限もチェック設立日と決算月を入れるだけで、税務署・年金事務所などへの提出期限がわかる「手続き期限カレンダー」へ ›

よくある質問

会社を設立する前でも申し込めますか?
公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は「新たに事業を始める方」も対象です。信用保証協会の創業関連保証も、事業を営んでいない個人が2か月以内に法人を設立して事業を始める具体的な計画がある場合などが対象になります。どの時点で申し込むかは、窓口で相談してみましょう。
金利はどのくらいですか?
融資制度、返済期間、担保の有無などによって異なり、見直されることもあります。公庫のサイトの「金利情報」や窓口で、申し込む時点の利率を確認してください。この記事では、特定の金利を「安い」「高い」と判断することは控えています。
借りたお金はどのように会計処理しますか?
借り入れたお金は会社の負債(借入金)になり、売上ではありません。返済した元金は経費になりませんが、支払った利息は経費(支払利息)になります。経費の考え方は「これって経費になる?」も参考にしてください。
どこに相談すればいいですか?
日本政策金融公庫の支店や事業資金相談ダイヤル、各地の信用保証協会、商工会議所・商工会、市区町村の創業支援窓口などで相談できます。税理士などの専門家に、収支計画を一緒に見てもらうのも一つの方法です。

参考にした公式情報

※この記事は一般的な情報と、公式サイトの掲載情報(2026年10月9日確認)をまとめたものです。融資制度の内容・金利・審査の基準は変わることがあり、融資を受けられることを保証するものではありません。借り入れの判断は、各機関の窓口や専門家に相談のうえ、ご自身で行ってください。