創業融資を受けるなら?
公的な融資制度と、申し込む前に確認したいこと
会社をつくったばかりで、融資を受けるべきかどうか。それは事業の内容や手元の資金によって変わるので、この記事では答えを決めつけません。そのかわり、もし受けるなら、どんな制度があって、何を準備すればいいのかを、日本政策金融公庫などの公式情報で一緒に見ていきます。毎月の返済額の目安がわかるシミュレーターも用意しました。
主に2つ
日本政策金融公庫と、信用保証協会の保証付き融資
創業計画書が大事
動機・経歴・資金計画・収支計画などを書く
あとまで計画を
返済が始まってからの毎月の額を確認
まずはデータを見てみる
日本政策金融公庫の総合研究所は、毎年「新規開業実態調査」を公表しています。2025年度の調査では、開業費用と、開業時に集めたお金は次のとおりでした。
創業時に使える主な公的な融資
会社をつくったばかりで、決算の実績がない時期に使われる代表的な公的融資は、次の2つです。
日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
政府系の金融機関である日本政策金融公庫(国民生活事業)の、創業向けの融資です。
- 使える人
- 新たに事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内の人(適正な事業計画があり、遂行する能力が十分あると認められる人)
- 使い道
- 事業を始めるため、または始めた後に必要な設備資金・運転資金
- 融資限度額
- 7,200万円
- 返済期間
- 設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内) - 利率
- 基準利率。女性、35歳未満または55歳以上の人、市区町村の創業支援を受けて証明書を得た人などは特別利率
- 担保・保証人
- 希望を聞きながら相談。経営者保証免除特例制度などを併用できる
信用保証協会の保証を付けた、金融機関の融資
信用保証協会は、信用保証協会法にもとづく公的機関で、中小企業などが銀行や信用金庫から事業資金を借りるときに「信用保証」をします。創業向けには、次の保証制度があります。
- 創業関連保証
- これから創業する人や、創業から5年未満の会社などが対象
- スタートアップ創出促進保証
- 経営者(社長)が会社の連帯保証人になる必要がない保証制度。保証料率は、創業関連保証の保証料率に0.2%上乗せ
- 保証限度額
- 3,500万円(創業向けの保証制度を合わせた合計)
なお、返済できなくなって信用保証協会が金融機関に代わりに返済(代位弁済)した場合も、借りたお金がなくなるわけではなく、会社は信用保証協会に返済していくことになります。
都道府県や市区町村が、信用保証協会・金融機関と連携して行う制度融資もあります。たとえば東京都には、経営者保証が不要で、都から保証料の3分の2の補助が受けられる創業融資があります。
※どちらも審査があり、希望どおりに借りられるとは限りません。金利・保証料は時期や条件によって変わるため、最新の情報は各機関の公式サイトで確認してください。
社長の個人保証(経営者保証)はどうなる?
会社の借り入れに社長が個人で保証人になると、会社が返せなくなったときに、社長個人が返済を求められることがあります。創業向けの公的な融資には、この経営者保証を付けない選択肢があります。
- 日本政策金融公庫「経営者保証免除特例制度」:新たに事業を始める会社や、税務申告を2期終えていない会社も対象になり得ます。条件の一つは、会社と社長のお金の一体性の解消が一定程度図られていること(事業上の必要がない、会社から社長への貸付金などがないこと)です。利率の上乗せはありません。
- スタートアップ創出促進保証:保証料率を0.2%上乗せするかわりに、経営者保証が不要になります。
借りる前に考えておきたい5つのこと
融資は、借りれば手元の資金に余裕ができる一方で、返済と利息の負担が続きます。次の5つを、借りる前に整理しておくと判断しやすくなります。
何に、いくら必要か
店舗の内装や機械などの設備資金と、仕入れや人件費・家賃などの運転資金に分けて、見積もりをもとに金額を出します。公庫の創業計画書にも「必要な資金と調達方法」を書く欄があります。
自己資金はいくら用意できるか
先ほどの調査では、開業時の資金調達額のうち自己資金は平均279万円(約23%)でした。借り入れに頼る割合が大きいほど、返済の負担も大きくなります。制度によっては、自己資金などの条件が設けられている場合もあります。
据置期間が終わったあとも返せるか
据置期間中は元金の返済がなく、利息だけを払います。据置期間が終わると、毎月の返済額が一気に増えます。収支計画で、その額を毎月払えるかを確認しておきましょう(下の返済シミュレーターで目安を出せます)。
金利や保証料はいくらか
公庫の利率は、融資制度や返済期間、担保の有無などによって異なり、見直されることもあります。保証付きの融資では、金利に加えて信用保証料もかかります。申し込む時点の条件を、公式サイトや窓口で確認しましょう。
経営者保証を付けるかどうか
経営者保証を付けない制度は、条件や保証料が違う場合があります。万一のときに社長個人にどんな影響があるかも含めて比べましょう。
返済シミュレーター
※金利は例です。実際の利率は、融資制度や条件によって異なります。利息は「年利÷12」で毎月計算した目安で、実際の返済額とは異なります。公庫のサイトにも返済シミュレーションがあります。入力した内容は保存・送信されません。
申し込みの流れと必要な書類
日本政策金融公庫に、これから創業する人が申し込む場合の一般的な流れは次のとおりです。
電話やオンライン、支店の窓口で事前に相談できます(予約制)。
必要な書類を電子データで用意して申し込みます。窓口は、法人なら原則として本店所在地の近くの支店です。
資金の使い道や事業計画について話をします。事業計画に関する資料や、資産・負債がわかる書類を用意します。オンライン面談もあります。
店舗や事業所の予定地を訪ねることもあり、事業計画などをもとに融資を判断します。
契約の手続き後、指定した口座に融資金が送金されます。返済は原則として月賦(元金均等、元利均等、ステップ返済など)です。
インターネットで申し込むときに主に用意する書類は、次のとおりです。
- 創業計画書(公庫の様式。自分で作った計画書でも可)
- 見積書(設備資金を申し込む場合)
- 履歴事項全部証明書(法人の場合)
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 許認可証(許可・届出が必要な事業の場合)
- 登記簿謄本など(担保を希望する場合)
創業計画書には、創業の動機、経営者の略歴、取扱商品・サービス、従業員、取引先、お借入の状況、必要な資金と調達方法、事業の見通し(売上・経費・利益)などを書きます。公庫のサイトには、業種別の記入例や書き方の動画もあります。
よくある質問
会社を設立する前でも申し込めますか?
金利はどのくらいですか?
借りたお金はどのように会計処理しますか?
どこに相談すればいいですか?
参考にした公式情報
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
- 日本政策金融公庫「経営者保証免除特例制度」
- 日本政策金融公庫「お手続きの流れ(創業予定の方)」
- 日本政策金融公庫「創業計画の書き方」
- 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(PDF)
- 全国信用保証協会連合会「信用保証協会と信用保証制度」
- 全国信用保証協会連合会「創業をお考えの方」
- 東京信用保証協会「都創業融資『創業経営者保証不要型(創業経保)』」
- 東京信用保証協会「スタートアップ創出促進保証制度のご案内」
※この記事は一般的な情報と、公式サイトの掲載情報(2026年10月9日確認)をまとめたものです。融資制度の内容・金利・審査の基準は変わることがあり、融資を受けられることを保証するものではありません。借り入れの判断は、各機関の窓口や専門家に相談のうえ、ご自身で行ってください。