バーチャルオフィスで
会社を登記するときの注意点
郵便・口座・許認可で困らないために
本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。
自宅の住所を会社の住所(本店)として公開したくない、都心の住所を使いたい。そんなときの選択肢が、バーチャルオフィスの住所を本店にして会社を登記する方法です。便利な反面、郵便の受け取り、法人口座、許認可などで思わぬところで困ることがあります。登記する前に確認しておきたい注意点を、公式情報をもとに整理しました。
自体はできる
同じ住所に同じ商号の会社があると登記できない
受け取れるかが要
書留・転送不要郵便の扱いを契約前に確認
使えないことも
許認可で事務所の要件がある業種は要注意
バーチャルオフィスで登記はできる?
会社法では、株式会社・合同会社とも、会社の本店の所在地を定款で定め、本店の所在地で設立の登記をすることになっています。本店をどのような建物に置くかの決まりはなく、自宅や賃貸オフィスのほか、バーチャルオフィスの住所を本店にすることもできます。
バーチャルオフィスのように、自社の住所を郵便の受け取り場所として使わせ、届いた郵便を引き渡すサービスは、犯罪収益移転防止法で「郵便物受取サービス業者」と呼ばれ、契約時に利用者の本人確認(取引時確認)を行うことが義務づけられています。契約のときに本人確認書類の提出を求められるのはこのためです。
バーチャルオフィスでよく使われる用途
- 本店所在地として登記する
- 名刺やウェブサイトに会社の住所として載せる
- 郵便物を受け取ってもらい、転送してもらう
事業者やプランによって違うこと
- 書留など、受け取りに署名が必要な郵便の扱い
- 郵便の転送の頻度と費用
- 会議室・来客対応・電話番号などの有無
登記する前に確認したい6つの注意点
同じ住所・同じ商号の会社があると登記できない
商業登記法では、すでに登記されている他の会社と商号も本店の所在場所も同じになる登記はできないとされています。バーチャルオフィスは1つの住所を多くの会社が使うため、ありふれた商号だと重なる可能性があります。
対策:申請前に、法務省の「オンライン登記情報検索サービス」などで、同じ住所に同じ商号の会社がないか調べておきましょう。
出典:法務省「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について」
重要な郵便を確実に受け取れるか
設立直後は、登記上の本店に大切な郵便が届きます。たとえば次のようなものです。
- 法人番号指定通知書:国税庁から、登記上の本店所在地に発送されます(法人設立ワンストップサービスで登記した場合は、サービス上に届きます)
- 銀行のログイン情報:たとえばGMOあおぞらネット銀行は、法人住所宛てに「転送不要」の簡易書留で送り、受け取れないと口座の利用制限や解約をするとしています
- 税務署・年金事務所などからの書類:申告や届出に関する案内などが届くことがあります
書留を代わりに受け取ってくれるか、転送不要の郵便をどう扱うかは、バーチャルオフィスの事業者やプランによって違います。なお、本人限定受取郵便は、名あて人本人か、差出人が指定した代人にしか渡されません。
対策:契約前に「書留・転送不要郵便・本人限定受取郵便の扱い」と「転送の頻度」を確認しましょう。
出典:国税庁法人番号公表サイト「法人番号について」、GMOあおぞらネット銀行「法人口座ご利用までの流れ」、日本郵便「本人限定受取郵便」
法人口座の開設で確認されること
法人口座の開設には銀行の審査があり、事業内容がわかる書類の提出や、本店の住所に届く郵便の受け取りが求められることがあります。バーチャルオフィスを使う場合は、事業の実態を説明できる書類(取引先との契約書や発注書など)をそろえ、2の郵便の受け取り方法を確認しておくことが大切です。
対策:申し込む銀行の必要書類と、ログイン情報などの送付方法を事前に確認しましょう。
許認可が必要な業種は、事務所の要件に注意
業種によっては、許可や免許を受けるために、実際に使える事務所が必要です。例として、次のような基準があります。
- 宅地建物取引業:事務所には、物理的にも社会通念上も事務所と認識される形態が必要とされ、東京都の「宅地建物取引業の免許のあらまし」では、対面可能な応接セット、人数分の机・椅子、開通済みの固定電話の設置が必要とされています
- 労働者派遣事業:事業所に、事業に使用し得る面積がおおむね20㎡以上あることなどが許可基準とされています
対策:許認可が必要な事業をする場合は、登記の前に、許可・免許の窓口で事務所の要件を確認しましょう。
出典:東京都住宅政策本部「宅地建物取引業の免許のあらまし」、厚生労働省「労働者派遣事業の許可基準」
ネット販売をするなら、住所の表示に注意
通信販売をする場合、特定商取引法にもとづく表示で事業者の住所を示す必要があり、消費者庁は現に活動している住所を正確に表示する必要があるとしています。消費者庁のQ&Aでは、個人事業者がバーチャルオフィスの住所を表示する場合について、バーチャルオフィスの運営事業者が事業者の現住所などを把握し、連絡先として機能することに合意していることなどの条件が示されています。また、私書箱の表示は「住所」の表示にはならないとされています。
対策:ネット販売をする場合は、消費者庁の「特定商取引法ガイド」のQ&Aを確認し、必要に応じて運営事業者にも相談しましょう。
出典:消費者庁「特定商取引法ガイド 通信販売広告Q&A」
あとで本店を移すとお金がかかる
バーチャルオフィスを解約して本店を移すときは、本店移転の登記が必要です。登録免許税は1件3万円で、管轄の法務局が変わる場合は、旧本店と新本店の両方の登記所への申請になるため、合計6万円かかります。
このほか、定款に本店の所在地を番地まで書いている場合は定款の変更が必要になり、税務署などへの届出も必要です。
対策:最低契約期間や解約の条件を確認し、長く使えるバーチャルオフィスを選びましょう。
出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」、法務局「本店移転(管轄登記所外に移転する場合)」の申請書記載例
代表者の住所は登記簿に載る
バーチャルオフィスを本店にしても、株式会社の代表取締役の住所は登記事項なので、登記簿(登記事項証明書)には代表者の住所が載ります。
2024年10月1日からは、一定の条件を満たせば、株式会社の代表取締役などの住所の一部を登記事項証明書に表示しない「代表取締役等住所非表示措置」を申し出ることができます。申出は登記の申請と同時にする必要があり、上場会社以外は、本店所在場所の実在性を証する書面(配達証明郵便の受領証など)などの提出が求められます。法務省は、この措置を受けると金融機関から融資を受けるときなどに不都合が生じる可能性がある点にも注意をうながしています。
バーチャルオフィス選びのチェックリスト
※チェックの状態は保存されません。
法人登記に使えるバーチャルオフィスの例
ここまでのチェックポイントのうち、特に大事な「郵便の受け取り」を中心に、法人登記に使えるバーチャルオフィスを2つ紹介します。どちらも当サイトが提携しているサービスで、リンクから申し込むと当サイトが報酬を受け取ることがあります。掲載の順番に優劣はありません。
表は横にスクロールできます。金額・内容は各社の公式サイトの表示(2026年10月6日確認)です。
| レゾナンス | バーチャルオフィス1 | |
|---|---|---|
| 月額(年間契約) | 月1回転送プラン:990円 週1回転送プラン:1,650円 税込 | 880円+郵送費用 年間一括10,560円。公式サイトに税込・税抜の表記なし |
| 入会金 | 5,500円 週1回転送・1年払いはキャンペーンで0円 | 5,500円 初年度のみ |
| 郵便の転送 | 週1回(毎週水曜)または月1回(月末の水曜) | 月4回 |
| 転送の送料 | 実費(100gまで300円〜) デポジット1,000円〜から精算。解約時に残高を返金 | 50gまで150円〜500gまで600円 |
| 簡易書留 | 受け取り可(1回300円) | 代理サインで受け取り(無料) |
| 本人限定受取郵便 | 不在票を受け取って対応(無料) | 不在票を受け取って連絡(無料) |
| 店舗での受け取り | 週1回転送プランは可(平日9:00〜17:50) 月1回転送プランは不可 | 可(平日11:00〜16:00) |
| 住所(拠点) | 東京(港区・中央区・渋谷区・新宿区・豊島区・千代田区)、横浜、大阪 | 東京(渋谷・神保町)、広島 |
| 本人確認 | eKYC(オンライン)または簡易書留 | eKYC(オンライン) |
- 東京都心を中心に、横浜・大阪にも拠点があり、住所の選択肢が多い
- 郵便の転送頻度を週1回か月1回から選べる。届いた郵便は写真で知らせてもらえる(無料)
- 転送不要の郵便は契約店舗での受け取りが基本。来店が難しい場合は転送を相談できる
出典:レゾナンス公式サイト(トップページ、「料金・サービス一覧」「バーチャルオフィスコース」)
- 月4回の郵便転送が基本料金に含まれる(送料は別)
- 簡易書留は無料で代理サインして受け取り、定期の転送で届けてもらえる
- 届いた郵便はLINEで通知。単月契約(月3,960円)も選べる
出典:バーチャルオフィス1公式サイト
よくある質問
バーチャルオフィスで登記すると、税務署はどこになりますか?
設立後にバーチャルオフィスから自宅や事務所に移せますか?
バーチャルオフィスと私書箱は同じですか?
合同会社でも代表者の住所を非表示にできますか?
参考にした公式情報
- e-Gov法令検索「会社法」(第27条・第576条・第911条・第914条)
- 法務省「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について」
- 法務省「代表取締役等住所非表示措置について」
- 法務局「株式会社(本店移転(管轄登記所外に移転する場合))」申請書記載例(PDF)
- 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
- e-Gov法令検索「法人税法」(第16条 内国法人の納税地)
- 国税庁「法人番号について」(PDF)
- 警察庁「犯罪収益移転防止法の概要」(PDF)
- 日本郵便「本人限定受取郵便」
- GMOあおぞらネット銀行「法人口座ご利用までの流れ」
- 東京都住宅政策本部「宅地建物取引業の免許のあらまし」(PDF)
- 厚生労働省「労働者派遣事業の許可基準」(PDF)
- レゾナンス 公式サイト、「料金・サービス一覧」、「バーチャルオフィスコース」
- バーチャルオフィス1 公式サイト
- 消費者庁「特定商取引法ガイド 通信販売広告Q&A」
※この記事は一般的な情報と、公式サイトの掲載情報(2026年10月6日確認)をまとめたものです。制度や運用は変更されることがあります。個別のケースは、法務局、税務署、許認可の窓口、専門家などにご確認ください。