決算月の決め方
設立時に考えたいポイントと1期目の長さシミュレーター
会社を作るときに、通常は定款で決める事業年度。その最後の月が決算月です。決算月は会社が自由に決められますが、1期目の長さや、決算・申告の時期、消費税の扱いなどに関わります。考え方のポイントを、公式情報をもとに整理しました。設立日を入れると、決算月ごとの1期目の長さを比べられるシミュレーターも用意しています。
自由に決められる
通常は定款で定める。ただし事業年度は1年を超えられない
決算月で変わる
設立した月の前月を決算月にすると、1期目がいちばん長くなる
変更もできる
定款を変更し、税務署などに届け出る。登記は不要
決算月と事業年度の基本
事業年度は、会社の会計期間です。会社計算規則では、各事業年度の計算書類の作成期間は1年を超えることができないとされています(決算月を変更した後の最初の事業年度は1年6か月まで)。1期目は会社の成立の日(原則として、設立登記の申請が登記所で受け付けられた日)から始まり、決算月の末日で終わります。
例:10月15日設立・決算月9月の場合。法人税・消費税の申告と納付は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。
決算月ごとの1期目の長さを比べる
※申告・納付期限は「事業年度終了の日の翌日から2か月以内」の原則で計算した日付です。期限が土日・祝日・年末(12月29日〜31日)にあたる場合は、休日明けの日が期限になります。申告期限の延長の特例を受けている場合は異なります。設立日は、原則として設立登記の申請が受け付けられた日です(2026年2月2日からは、条件を満たせば休日を設立日に指定することもできます)。入力した日付は保存・送信されません。
決算月を決めるときの5つの視点
繁忙期と決算・申告の時期を重ねない
決算月の後の約2か月は、決算書の作成や申告の準備が必要です。本業が忙しい時期と重なると負担が大きくなるので、繁忙期を避けて決算月を選ぶ考え方があります。税理士に依頼する場合は、依頼先の都合も聞いておくと安心です。
納税のタイミングと資金繰り
法人税や消費税は、原則として決算日の翌日から2か月以内に納めます。売上の入金が集中する時期や、大きな支払いが重なる時期を考えて、納税の時期に資金を用意しやすい決算月を選ぶ考え方もあります。
売上の波(季節性)
売上の多い時期が決算月の直前にあると、その期の業績が締めくくりまで読みにくくなります。売上のピークの後に決算月を置くと、1年の業績の見通しを立てやすい、という考え方もあります。
役員報酬を見直せる時期も決まる
毎月同じ額を支払う役員報酬(定期同額給与)は、原則として事業年度開始の日から3か月を経過する日までに改定する必要があります。決算月を決めると、役員報酬を見直せる時期も決まります。
1期目の長さと消費税
資本金1,000万円未満の新しい会社は、条件を満たせば1期目・2期目の消費税が免除されます。1期目の長さによって2期目の判定の仕方が変わることがあるため、次の章で詳しく説明します。
消費税の免税と1期目の長さの関係
資本金1,000万円未満で設立した会社は、基準期間(前々事業年度)がないため、原則として1期目・2期目は消費税の納税義務が免除されます。ただし、次のような場合は免除されません。
- インボイス(適格請求書発行事業者)の登録を受けている
- 消費税課税事業者選択届出書を提出している
- 大きな会社に支配されている「特定新規設立法人」に当たる
- 2期目で、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える(課税売上高の代わりに、給与等の支払額の合計で判定することもできます)
この「特定期間」は、原則として1期目の開始の日から6か月の期間です。ここで1期目の長さが関係します。
1期目が長い場合(例:12か月近く)
- 1期目の最初の6か月が特定期間になり、2期目の判定に使われる
- 特定期間の課税売上高と給与等の支払額がどちらも1,000万円を超えると、2期目は課税事業者になる
1期目が短い場合(7か月以下など)
- 1期目が「短期事業年度」に当たると、1期目は特定期間にならない
- ただし1期目そのものが短いので、1期目と2期目を合わせた期間は短くなる
「短期事業年度」とは、前事業年度が7か月以下の場合、または7か月を超え8か月未満で、前事業年度開始の日以後6か月の期間の末日の翌日から前事業年度終了の日までが2か月未満の場合をいいます(国税庁のリーフレットより)。設立日が月の途中の場合は、特定期間の末日の扱いに特例もあります。
決算月をあとから変更するには
決算月は、設立後に変更することもできます。事業年度は登記事項ではないため、変更の登記は必要ありません。
株式会社は株主総会の特別決議、合同会社は原則として総社員の同意
変更後の事業年度を定款に反映します
税務署に「異動届出書」を提出。都道府県・市区町村にも届出が必要な場合があります
よくある質問
設立した月を決算月にしてもいいですか?
1期目を短くすると何か困ることはありますか?
決算月を変更したら、何を届け出ればいいですか?
参考にした公式情報
- e-Gov法令検索「会社計算規則」(第59条)
- e-Gov法令検索「会社法」(第309条・第466条・第637条)
- 法務省「休日を会社等の設立の日とすることが可能になりました」
- 国税庁「法人税、地方法人税及び防衛特別法人税の申告」
- 国税庁「No.6601 申告と納税」(消費税)
- 国税庁「No.6501 納税義務の免除」
- 国税庁「No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」
- 国税庁「消費税法第9条の2 事業者免税点の判定について~新たに設立した法人等の特定期間~」(PDF)
- 国税庁「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」
- 国税庁「異動事項に関する届出」
※この記事は一般的な情報と、公式サイトの掲載情報(2026年10月6日確認)をまとめたものです。税制や手続きは変更されることがあります。個別の判断は、税理士や税務署などにご相談ください。