役員報酬の決め方
毎月同じ額にするルールと、変えられる時期

最終確認日:2026年10月7日/国税庁・e-Gov法令検索などの公式情報をもとに作成

期首から3か月で 金額を決める 毎月同じ額=定期同額給与 1か月目 12か月目

会社の役員(社長など)に払う報酬は、決め方を間違えると、会社の経費(法人税の損金)にならないことがあります。小さな会社でまず押さえたいのは、毎月同じ額を払う「定期同額給与」のルールと、金額を変えられる時期です。国税庁の公式情報をもとに整理し、改定と届出の期限がわかるチェッカーも用意しました。

この記事のポイント
役員報酬は
毎月同じ額が基本

定期同額給与なら損金にできる

金額を変えるのは
期首から3か月以内

1期目は設立日から3か月以内に決める

途中で増やした分は
損金にならない

役職の変更や業績悪化など、決められた理由があれば別

役員報酬が損金になる3つの形

法人税法では、役員に払う給与(退職給与などを除く)のうち、次の3つのどれかに当たるものだけが損金になります。どれに当たっても、不相当に高額な部分は損金になりません。

小さな会社の基本

定期同額給与

1か月以下の一定の期間ごとに、毎回同じ額を払う給与。いわゆる毎月の役員報酬です。

役員賞与を出すなら

事前確定届出給与

決まった時期に、決まった額を払うことを事前に決め、税務署に届け出た給与。

小さな会社は対象外が多い

業績連動給与

利益などの指標をもとに算定する給与。同族会社は、同族会社以外の法人に完全に支配されている場合などに限られます。

家族や少人数で経営する多くの小さな会社は同族会社に当たるため、実際には定期同額給与と事前確定届出給与の2つで考えることになります。

定期同額給与のルール

定期同額給与は、その事業年度の各支給時期の支給額が同じである給与です。源泉所得税や社会保険料などを差し引いた手取りの額が毎月同じ場合も、定期同額給与に当たります。

金額を変えた場合でも、次のどれかに当たる改定なら、改定の前後それぞれで毎月同じ額であれば、定期同額給与として認められます。

1
期首から3か月以内の改定

事業年度の開始の日から3か月を経過する日までにした改定。会社をつくった1期目は、設立日から3か月です。多くの会社では、決算後の定時株主総会で翌年の金額を決めます。

2
臨時改定事由による改定

役員の役職の変更、職務の内容の重大な変更など、やむを得ない事情による改定。たとえば、役員が病気で入院して職務の一部ができなくなったための減額などが、国税庁のQ&Aで例として挙げられています。

3
業績悪化改定事由による減額

経営の状況が著しく悪化したことなどによる減額。一時的な資金繰りの都合や、業績が目標に届かなかっただけの場合は当たりません。

※申告期限の延長の特例を受けている場合は「3か月」の数え方が変わることがあります(延長が1か月なら同じく3か月)。毎年決まった時期の改定が3か月より後になる特別の事情がある場合の特例もあります。

改定期限・届出期限チェッカー

役員報酬の期限チェッカー日付を入れると、役員報酬の金額を決める(変える)期限と、役員賞与の届出の期限がわかります。
1. どの事業年度ですか?
2. 設立日

※国税通則法の期間計算にもとづく目安です(期首・設立日はその日から、決議日はその翌日から数えます)。届出の期限が土日・祝日などにあたる場合は、その翌日(休日明け)が期限になります。申告期限の延長の特例を2か月以上受けている場合などは異なります。入力した日付は保存・送信されません。

途中で金額を変えるとどうなる?

3つの改定に当たらない理由で、期の途中に金額を変えた場合は、損金にならない部分が出ます。国税庁の「役員給与に関するQ&A」では、次のように計算する例が示されています(いずれも3月決算の会社の例)。

途中で増額した場合

5月の定時株主総会で6月分から40万円→60万円に改定したあと、臨時改定事由に当たらない理由で、9月分から70万円に増額。

損金にならない額:10万円×7か月=70万円

途中で減額した場合

5月の定時株主総会のあとも月50万円を払い続け、臨時改定事由や業績悪化改定事由に当たらない理由で、12月分から40万円に減額。

損金にならない額:10万円×6か月=60万円

※どちらの例も、改定の前後でそれぞれ同じ額を払っている場合です。実際の扱いは個々の事情によって判断されます。

役員賞与を出すなら「事前確定届出給与」

役員に賞与(ボーナス)を出す場合は、いつ・いくら払うかを事前に決めて、税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を出しておく必要があります。届け出ずに払った役員賞与は、原則として損金になりません。

ケース届出の期限
設立したばかりの会社が、設立時からの職務について定める設立日以後2か月を経過する日
それ以外(原則)次のうち早い日
・株主総会などで決議した日(職務の執行を始める日の方が後ならその日)から1か月を経過する日
・事業年度の開始の日から4か月を経過する日
注意:届け出た額と違う額を払うと、その役員に払った賞与は、原則として全額が損金になりません(届出額より少なく払った場合も含みます)。業績が読めない時期は、無理のない金額で届け出ましょう。

金額を決めるときの考え方と手順

役員報酬の額は、会社の損金になる一方で、受け取る役員にとっては給与所得として所得税・住民税の対象になります。また、健康保険・厚生年金の保険料(標準報酬月額)にも関わります。法人は、事業主1人だけでも健康保険・厚生年金の適用事業所です。

金額を決める

年間の見込みから月額を決める

株主総会などで決議

株式会社は、定款か株主総会の決議で定める(会社法第361条)

議事録を残す

いつ・いくらに決めたかを記録する

毎月同じ日に支給

源泉所得税を差し引いて払う

ポイント:1期目は、設立日から3か月以内に金額を決めて、毎月同じ額を払いましょう。設立直後の手続き全体は「会社設立後にやることチェックリスト」でも確認できます。
設立後の手続きの期限もチェック設立日と決算月を入れるだけで、税務署・年金事務所などへの提出期限がわかる「手続き期限カレンダー」へ ›

よくある質問

1期目は役員報酬をゼロにしてもいいですか?
ゼロにすることもできます。ただし、期の途中から支払いを始めたり増やしたりすると、3つの改定に当たらない限り、増やした部分は損金になりません。1期目に払うなら、設立日から3か月以内に金額を決めましょう。
手取りが毎月同じなら、額面が変わってもいいですか?
源泉所得税・住民税・社会保険料などを差し引いた後の金額が毎月同じであれば、定期同額給与に当たります。
業績が悪くなったら、期の途中で下げられますか?
経営の状況が著しく悪化したことなどによる減額(業績悪化改定事由)なら認められます。ただし、一時的な資金繰りの都合や、業績が目標に届かなかっただけでは当たりません。どのような状況でなぜ減額したのかを説明できるようにしておくことが大切です。
役員報酬は損金にならなくても払えますか?
会社法の手続き(定款や株主総会の決議)にしたがえば支払うことはできます。ただし、損金にならない部分は会社の法人税の計算で経費にならず、受け取った役員にも給与として所得税などがかかります。
ほかの支出も経費になるか確認備品・飲食代・税金などの扱いを整理した「これって経費になる?会社の経費の判断ガイド」へ ›

参考にした公式情報

※この記事は一般的な情報と、公式サイトの掲載情報(2026年10月7日確認)をまとめたものです。税制は毎年の改正で変わることがあります。個別の判断は、税務署や税理士にご相談ください。